
帯状疱疹
帯状疱疹
水痘(みずぼうそう)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルス3型)によって発症する病気です。水痘に一度かかった人は、ウイルスが体内に潜伏しているため、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。
痛みやかゆみを伴う赤みを伴った帯状に分布する皮疹で、次第に水ぶくれが密集して出現し、増加する疾患です。典型的にはからだの左右かどちらかに生じます。
上半身に現れることが多く、痛みは様々でほとんどない方もいれば夜も眠れないほど激しい痛みを感じる方もいます。
帯状疱疹は加齢(50歳以上)、糖尿病、がん、慢性疾患のある方などは発症リスクが高くなります。
帯状疱疹は皮膚症状が出たらできるだけ早く皮膚科を受診し、早期に治療することが非常に大切です。早期治療により、帯状疱疹後疼痛の発症を低減することが期待できます。
皮膚症状が治ると多くは痛みも消失しますが、神経の損傷によって痛みが長期間残存する事もあり、早期の治療が望ましい疾患です。残存する疼痛の予防にもなるため、50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンの予防接種が推奨されています。
痛みやかゆみを伴う赤みを伴った帯状に分布する皮疹で、次第に水ぶくれが密集して出現し、増加する疾患です。
神経に沿って生じるため、典型的にはからだの左右かどちらかに生じます。
肋間神経領域が最も多く、ついで顔面(三叉神経領域)に発生します。
部位としては上半身に現れることが多く、上肢・胸背部が約30%、腹部・背部が約20%です。
非常に特徴的な分布のため、典型例では見た目だけで診断できますが、全く非典型な場合もあります。その場合も現在は「デルマクイックVZV」という検査が保険適応になっており、非常に高い精度で水痘帯状疱疹ウイルスを検出できます。
痛みは様々でほとんどない方もいれば、かゆみやピリピリと刺すような痛みが生じる方、夜も眠れないほど激しい痛みを感じる方もいます。
神経痛は皮疹出現に先行し、数日前から現れることが多く、疼痛のピークは皮疹が出てから7~10日後である事が多いです。
水ぶくれは徐々に破れ、かさぶたになって治っていくことが多いです。
帯状疱疹が治った後も、神経の損傷による痛み(神経痛)が長期間続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」が発症することがあり、高齢者ほど発症しやすい傾向があります。
神経に関連した皮膚疾患のため、疼痛・神経痛や出現した部位によってさまざまな合併症を生じます。腕の運動神経障害、尿閉、目の障害や顔面神経麻痺、内耳障害によるめまい・耳鳴りなどが起こることがまれにあります。
皮膚症状が治癒した後も3カ月以上疼痛が続くと「帯状疱疹後神経痛」と言われます。頻度は5~20%と高く、特に高齢者で生じやすいとされています。
耳介周囲に帯状疱疹の症状が見られ、強い痛みを生じます。そしてめまい、耳鳴り、顔面神経麻痺を合併します。通常の顔面神経麻痺は治癒しやすいですが、帯状疱疹による顔面神経麻痺は残存することが多く、疑った場合は早期に耳鼻咽喉科に紹介します。
鼻背部は三叉神経第1枝が単独で支配しており、この神経は眼部に影響します。(Hutchinson (ハッチンソン)徴候)。角結膜炎、結膜炎、角膜炎、虹彩毛様体炎などの眼病変を合併することがあります。一方鼻の先端(鼻尖部)は三叉神経の1枝および2枝の双方から支配されており、この部位の皮疹では1枝領域病変かどうか判断できません。ただし、鼻尖部位の症状でも眼症状が出てこないか注意して経過観察する必要はあります。
帯状疱疹の治療は、皮疹が出現してからできるだけ早い段階(発症後72時間以内)で開始することが重要です。
ウイルスの増殖を抑え症状の悪化を防ぐ「抗ウイルス薬」の内服や、重症例では点滴治療を行います。
帯状疱疹は、水痘ウイルスが免疫力低下によって再活性化することで発症する疾患です。発症すると強い痛みを伴うため、早期発見・早期治療が重要です。
また、帯状疱疹の水疱が自壊、二次感染しないように保護する軟膏や、疼痛管理のための「鎮痛剤・神経痛治療薬」で治療します。50歳以上の方や基礎疾患のある方は、予防ワクチンを接種することで発症リスクを大幅に低減できます。帯状疱疹の疑いがある場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
帯状疱疹は約6.4%に再発がみられるとされますが、ワクチン接種で予防可能です。
また、50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンの予防接種が特に推奨されており、帯状疱疹後神経痛の予防効果も高いとされています。当院でも接種可能です(自費診療)。
以下の2種類のワクチンがあります。