■頻度の高いしこり・できもの -粉瘤(ふんりゅう)-
- 2025/04/06
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今回は皮膚科、形成外科でよくご相談されるできものの1つ、「粉瘤(ふんりゅう)」について解説します。
本来、粉瘤は皮膚の下にできる良性のできものの総称です。わかりやすくするために、その中で最も多い”表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)”を粉瘤として説明します。
毛穴の一部が陥入して袋のような構造を作るため、袋の内側は皮膚表面と同じ構造です。
皮膚は常に生まれ変わっているため、垢(あか)や皮脂が袋の中にたまってできるのが粉瘤(表皮嚢腫)です。
皮膚に繋がっている部分が黒い点のように見える事があり、その下に上皮(表皮など)で作られた”袋状のできもの”が隠れています。巷で「脂肪のかたまり」と言われることがありますが、本来は「垢(あか)や皮脂を溜めた袋状のできもの」です。
脂肪のかたまりに最も近いできものは脂肪腫(別の機会で解説)と呼ばれ、こちらも頻度の高い疾患です。
通常外に脱落する角質(垢など)が袋の中にたまって、大きくなる事があります。また中身は垢のかたまりのため臭いと感じる事があります。
皮下のできものの場合、”皮膚超音波検査”を行います。性状を推定したり、血流を調べることで比較的稀な血管のできもの悪性腫瘍を疑う所見がないかを調べることができます。
中の垢を出そうと無理に圧迫すると、袋が破れて周囲に腫瘍が散らばって範囲が広くなってしまったり、炎症、細菌感染を起こしてしまうこともあります。内容物を無理に出すことは避けて早めに受診してください。
<切除(保険適応)>
粉瘤は正確に切除しないと、再発する恐れのある疾患です。
粉瘤の手術を受けたのに治らなかったという場合、実際には炎症を起こして痛みと熱をもってしまった粉瘤(炎症性粉瘤)に対する応急処置として、切開して膿を出すの治療しか受けていないことはしばしばあります。本体の袋が残っているため、再び内容物がたまって再発したり炎症を起こしたりします。
袋ごととらないと再発率が高くなるため、治療は袋ごと切除する方法になります。
粉瘤の治療には1.紡錘形切除 2.くりぬき法 があります。
部位にもよりますが、の場合や以前赤く腫れたり膿んだことがある場合は、紡錘形切除を行います。この方法は最も再発の可能性が低い治療法になりますが、赤く腫れたり膿がでたりした後の粉瘤の場合は再発率がやや高くなります。
比較的小さく、過去に赤く腫れた事がない場合は、傷痕の大きさを小さくできる”くりぬき法”を勧めているクリニックもありますが、腫瘍壁をわざと破綻させる事による再発リスクや取り残しの観点から当院では積極的には行いません。小さいものであれば、壁を破綻させずにくりぬき法に準じた切開線で摘出可能です。
当院は地域の皆様のお役に立てるよう努めてまいります。粉瘤かも?と思われた方は、ぜひご相談ください。部位や年齢、治療する目的によって個々人に合った方法を提案させて頂きます。